第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】
男はくちゅくちゅと微かな水音を発て、私の秘部を舌先で擽る様に舐め続けている。
私は無言で自分の股間に埋まる男の綺麗な顔をじっと見上げていた。
その視線に気付いたのか、男は舐る動作を止めないまま「どうしたの?」と問い掛けて来る。
「別に……
貴方が気持ち良くなれれば良いだけだったら
さっさと一物を突っ込めば良いのに…って思って。」
一瞬、驚いた様に目を見開いてから男はくしゃっと笑った。
「あはは……良いね、ちゃん。
君みたいに正直な娘…僕は好きだよ。
でもさ、やっぱり濡れてないと痛いでしょ?
僕の……そこそこ大きいみたいだし。」
…………そんなの構やしないのに。
部屋に入るなり突っ込んで来る男なんて幾らでも居る。
こっちが「痛い」と訴えても「それが悦いのだろう」なんて、勘違いも甚だしい事を平気で吐かすんだ。
不思議な物で、そんな行為を続けられれば嫌でも慣れて仕舞う。
人って『身体の痛み』には慣れる事が出来るんだよ。
………知ってた?
「それにね……
演技はしなくて良いって言ったけど、
どうせならちゃんにも気持ち良くなって貰った方が嬉しいし。
ね……指、挿れて良い?」
「………お好きにどうぞ。」
変な男。
金で買った女を一々気遣うなんて。
そういうのって………何か苛々する。