第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】
男の手は躊躇無く私の腰紐を解き、襦袢の合わせを左右に大きく開く。
「あん……」
全裸を晒す事に今更抵抗など欠片も無いけれど、それでも私は男を悦ばせる為に可愛らしく声を上げ恥て見せた。
「ああ、そういうの、要らないからね。」
「……え?」
「演技しなくても良いよ…って事。
面倒臭いでしょ?
僕は自分が気持ち良くなれればそれで充分だから。」
………何だか、自分の存在を否定された様な気になった。
私はこうやって生きているのに、その生きる為の術が不必要だなんて。
自分でも吃驚する位、悔しくて悔しくて……
ああ、どうしよう。
泣いちゃいそうだ。
でもここで涙を流したりしたら、もっと惨めになっちゃう。
だから私はもう一声だって漏らしてやるものかと、下唇をぐっと噛み締める。
そんな私の様子を見て、男はふっと優し気に微笑むと
「でも、痛かったり苦しかったりしたらちゃんと言ってね。
………ちゃん。」
そのまま両手で私の膝裏を高く持ち上げいきなり股間に顔を埋めた。