第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
「はあ……
綺麗な人でしたね。」
は風間の去って行った方向へ視線を向けてうっとりと呟いた。
結局風間はのあっけらかんとした言葉に
「ふん……
益々気に入った。
不知火を見限った時は俺の元に来るが良い。
可愛がってやるぞ。」
そう満足そうに言って笑いながら部屋を出て行ったんだ。
「何だァ?
風間の事、気に入ったのか?」
風間に対する嫉妬心をに悟られてなるもんか…と、俺はいつも通りの軽薄な口調で問い掛ける。
だけどそんな想いなんてにはお見通しなんだろうな。
はふわりと優しく微笑んで
「まさか…そんな訳無いでしょう?」
と、俺の頬に手を添えた。
「只、あの人は昔からのお仲間なんでしょ?
私がまだ知らない不知火さんを知っているだろうし…
それに何よりも、不知火さんのお仲間なら
私の事を気に入って貰わなくちゃ…って。
私、あの人に不知火さんのお相手として認めて貰えたかな?」
小首を傾げ不安そうに俺を見つめるを力一杯抱き締める。
「……不知火さん?」
「心配すンな。」
「え?」
「ありゃ風間の最上級の褒め言葉だ。
あの野郎、の事を本気で気に入ってやがるのさ。」
「本当?」
「ああ。長い付き合いの俺には良く分かる。
ま、だからって風間にを渡す気なんて更々無ェけどな。」
「んっ…」
俺はに噛み付く様に口付ける。
手前ェは俺だけの物だと、もう誰にも触れさせたりするもんか…と。
呼吸する事も許さない程に舌で口内を犯し、唾液を注ぐ。
長い時間を掛けて漸くの唇を解放してやれば、その瞳は艶やかに潤んで何か言いた気に俺をじっと見上げていた。