第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
夕餉を済ませ夜が更け始めた頃、俺とはいつもの様に一つの布団に入り、俺の腕枕で身体を横たえるの腹に手を添える。
「直きに産まれるな。
ああ……早く会いたくて仕方ねえ。」
「左之さんは良い父親になりそうだね。」
「そうか……?
まあ、とことん甘やかしちまいそうだから、
子供に取っては都合の良い父親かもな。」
「それは駄目だよ……」
そんな会話を交わしながら二人でくすくす笑い合っていると、
「…あっ!」
突然が何かを思い出した様に声を上げた。
「どうした?」
「うん、あのね……これ…」
そう言っては腹帯の間から小さな布袋を取り出す。
「……御守り…か?」
「そう。
今日ね、市場へ買い物に行って帰って来たら
これが玄関の鴨居に引っ掛けてあったの。
誰がくれたのか分からなくって。」
の手からその御守りを受け取って……俺は息を飲んだ。