第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
「私は……弟の慰み者だった。」
「………っ。」
その衝撃の告白に俺は息を飲む。
一頻り泣きじゃくって漸く落ち着いたは俺と不知火に向かって滔々と語り出した。
「弟と言っても血は繋がって無いの。
弟は父がどうしてもと望んだ養子だったから。」
「養子……か。」
俺は未だに動揺を抑えられねえが、どうやら不知火は全てを知っているんだろう。
の告白に眉を顰めつつも何も言おうとはしなかった。
「私は武家出身なの。
吹けば飛んで仕舞う程の小さな家だけれど
父にはそれだけが誇りみたい。
でも子供は私一人しか出来なくて……。
どうしても御家の存続を望む父は養子を迎えた。
一つ年下のその弟は、とても人当りが良くて穏やかで……
父と母にも従順だった。
私の事も『姉さん』『姉さん』って慕ってくれていたんだ……
最初の内は。」
そこでは一呼吸置き、悲痛に顔を歪ませた。
そして再び意を決した様に語り出す。
「ある晩……父も母も居なくて………
私はいきなり弟に穢された。
どれだけ抵抗しても止めてくれなかった。
それからはほぼ毎日、父や母の目を盗んで弟は私を貪り尽くしたの。」
「父親に言えなかったのか?
自分の娘が陵辱されてるって分かればいくら何でも……」
俺は至極真っ当な事を勢い良く告げてみたが、それでもは儚げな笑みを浮かべるだけだった。