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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第1章 堕ちる【薄桜鬼】


「ちょっ…一寸待てよ!
 俺、何かしたのか?
 総司に恨まれるような事をしたなら謝るからさ。
 なあ、だから………」


「好きなんだ。」


「は………?」

「平助の事が堪らなく好きなんだよ……僕は。」

突然告げられた総司の想いに俺は言葉を失った。

「ねえ、平助は?
 僕の事、好き?」

そう問われた所で思考が追い付かない。

俺はしどろもどろになりながら何とか返事をしようと試みた。

「好きかって聞かれりゃ……そりゃ、す…好きだよ。
 だって仲間だろ?
 総司は凄え強いし、一緒に居ると心強いって言うか……」

「ありがとう。」

俺の精一杯の返事を遮って、総司はまた俺の髪を撫でた。

「でもね……僕の『好き』と平助の『好き』は違うんだ。」

瞬間、総司の目が妖しく光る。

「僕はね……平助の全部が欲しいんだよ。」

総司の右手が俺の下帯に伸ばされるのを見て

「止めろっ!」

俺は激しく身を捩る。

俺が欲しいって……そう言ったか?

どうして下帯を剥ぎ取る必要があるんだ?

………そういう事か?

『そういう事』なのか?

思い至った考えに、俺の身体ががくがくと震え出す。

尚も下帯を剥ごうとする総司の動きを阻止する為、俺は両脚をばたつかせ必死で抵抗した。

「やっぱり脚も縛らなきゃ駄目か。」

少し面倒臭そうに呟いた総司が側に有った荒縄をずるりと持ち上げ、俺の膝を折り畳んだ状態で拘束し始める。

「止めろって!」

だけど両腕が使えない状態ではどんなに抵抗した所で無駄だった。

俺の膝は片方ずつ絡め取られ、そこに新たな荒縄が通されると総司はそれを俺の背後に廻し、拘束されている両腕に括り着けた。

ぎちぎちと荒縄を引かれる度に俺の膝は左右に開いて行き、これ以上は無理だという状態まで開脚した所で固定されてしまう。

「なあ……嘘だろ?総司……。」

歯の根が合わない俺はかちかちと顎を鳴らしながらも何故か卑屈に笑っていた。

もう自分の力では一寸足りとも動けない俺の裸の胸を、総司の手がゆっくりと撫で回す。

「ごめんね、平助。
 本当はこんなに急ぎたく無かった。
 でも……僕にはもう時間が無いんだよ。」
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