第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】
余りにあっけらかんとした不知火の言葉が、逆に俺の背筋を凍らせる。
不知火はに何をしようとしているんだ?
「……う……んん…」
その時、不知火の膝の上でが声を上げ、小さく身を捩った。
「お……また欲しくなっちまったかァ?」
そんなを見下ろした不知火は傍らに在る徳利を手に取って直接口に含むと、一切の躊躇いも無くに口付けその中身を注ぎ込む。
の喉がこくこくと動き、拒絶する事無くそれを飲み込んでいるのが分かった。
「不知火……手前ェ……」
流石にもう黙って見てる訳にはいかねえと、一歩踏み出した俺の足を凍り付かせたのはの一言だ。
「お願い……もっと…」
とろんとした目つきで不知火を見上げて強請る。
……これは、一体?
眩暈がする程の動揺に襲われ、もう一歩も動けない俺を尻目にと不知火の遣り取りが続く。
「もっと飲みてェのか?」
不知火が再び徳利に手を掛けると
「ん……違う……
それじゃ…無くてっ……」
は切な気に首を振り、不知火の胸元に手を這わせた。
「ああ……そーゆー事か。
フン……良い具合に仕上がってきやがった。」
その後、と不知火の口付けは延々と繰り返された。
もう口付けなんて可愛いもんじゃねえ。
お互いの昂ぶりを押し付け合い、そして奪い合う激しい愛撫そのものだ。