第15章 爛熟の刻【薄桜鬼】

そこで俺はふと思い立つ。

数日前のあの日、が俺に伝えようとしたのは不知火の事ではなかったのか？

長州と関わりのある男から言い寄られている……

確かに新選組が知りたい情報じゃねえよな。

純粋に個人が困惑して、俺に相談しようとしたんだろう。

だが、そんな事で俺の手を煩わすのは申し訳無いと思った……こんな所か。

あの時、もっとちゃんとの話を聞いて遣っていれば、こんな事には成らなかった筈だ。

今更だが俺は、自分の不甲斐無さにぎりぎりと唇を噛んだ。


「それにしても……
　まさかが原田の女だったとはなァ。」

本当は分かって言っているのか？

不知火の言い種に神経を逆撫でされて仕舞う。

「……は俺の女じゃねえ！」

絞り出す様に言い放った俺の顔を見て、不知火は愉し気に口笛を鳴らした。

「へェ……。
　じゃあ遠慮する必要は無ェってワケだ。」