第14章 God bless you【ドリフターズ】
サン・ジェルミさんの言った通り暫くの別れを惜しんだ私と『空神様』は、お互いを貪り尽くすかの如く愛し合った。
二人共に疲れ果て、泥の様に眠り、目を覚ました時には正午を過ぎて仕舞っていた。
身を縮ませて『空神様』と一緒に皆の所に向かえば、皆の視線は優しくて、でも何かを覚っているのは明白で、私は気不味さに一層縮こまる。
恐らくサン・ジェルミさんが私の想いを皆に伝えておいてくれたのだろう。
………何処までの話をしたのか、一抹の不安は拭えないけれど。
皆は私があの場所に戻る事を認めてくれた。
晴明さんも「今思えば、さんはその為にこの世界に送られたのかもしれない」と穏やかに微笑んだ。
その後、戻るならば早い方が良いだろうと、サン・ジェルミさんの馬車で送って貰う事になった。
飛龍を出る時には山口多聞少将の所へ挨拶に向かい
「美味しいお茶を有り難うございました。」
そう言って私は丁寧に頭を下げる。
「また何時でも遠慮無く飲みにおいで。」
私を慈しむ様に見つめ紡がれた山口少将の言葉に、あの日に逸れたままの父さんの姿が重なった。