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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第14章 God bless you【ドリフターズ】


飛龍を出てサン・ジェルミさんの馬車を待っている間に、此方へ向かって来る三人の男性に気付く。

きっとあの人達が廃城組だ。

此れ迄に聞かされた逸話の所為で興味津々であった私が視線を反らせないで居ると、その中の一人……

真っ赤な甲冑を纏った凜々しい男性と目が合った。

何故か彼も私から視線を外す事無く、しかもざくざくと一直線に私の方へ進んで来る。

そして私の前でぴたりと立ち止まると、いきなりその大きな手でぐいぐいと力強く頭を撫でられた。

「あ……あの……?」

動揺を隠せず問い掛けてみても、彼は無表情のままじっと私を見下ろし頭を撫でるのを止めない。

驚きはしたけれど嫌悪感は全く無く、しかもその手には抑え切れない慈しみの様な想いが感じられて拒む事は出来なかった。

そんな私達に近付いて来た二人の内、女性と見紛う程に美しい男性が「こらこら…」と言いながら、私を撫で続ける彼の手をやんわりと退ける。

「駄目だよ、お豊(トヨ)。
 人の奥さんに勝手に触っちゃ駄目。」

「駄目なんか?」

「うん。
 この人はね、デストロイヤーの奥さん。
 『あの娘』じゃないんだよ。」

お豊(トヨ)…という事は、私の頭を撫でた人が『島津豊久』、そしてそれを優しく慰める様に制したこの人が身に着けている物から鑑みても『那須与一』なのだろう。
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