第14章 God bless you【ドリフターズ】
「舶来の軍服に二本差し……」
「………え?」
その言葉に驚いて視線を上げると、サン・ジェルミさんは見紛うこと無く私に向かって語り掛けている。
「……知ってるわよねェ?」
舶来の軍服……二本差し……艶やかな黒髪を湛えた長身の……あの人だ。
私を飛龍まで導いてくれたあの『彼』。
「はい!
はい、知ってます!」
私は力一杯に何度も頷く。
「その男が犬族を護っているらしいわ。
こっちも廃城組と一緒。
あの男相手じゃ、漂流者(ドリフ)狩りも犬族には指一本触れられるハズが無い。」
「ああ……良かったぁ。」
私は身体中から力が抜けて、思い切り安堵の息を漏らした。
「でも……どうしてあの人が?」
そして当然の疑問が口を衝いて出る。
「さあね……
ま、これは私の想像でしか無いけど……
と『あの娘』が似てるから……じゃないかしら。」
それを聞いた『空神様』も不審気に首を捻っていたけれど、突然何かに思い当たったみたいで
「ああ……そーかもなァ。」
と、サン・ジェルミさんと笑い合う。
そんな中、私だけが訳が分からず取り残された様にぽかんとしていた。