第14章 God bless you【ドリフターズ】
「直さん……」
私は『空神様』の腕の中で、強い視線を上向けた。
「どうした?」
「私、戻ります。
あの場所に。」
「ああッ!何だって!?」
『空神様』は心底驚いたみたいだけど、私の決意はもう揺るがない。
「犬族の皆にも必ず戻るからって約束して来ました。
それに……
直さんの『帰る場所』を守りたいんです。」
「……」
『空神様』の大きな手が私の前髪を掻き上げて、額をぐいと撫でてくれる。
「私は臆病で狡い女だから……
直さんが戦っている姿は怖くて見ていられません。
でも戦いを終えた直さんが何時でも帰って来られる場所、
あの場所を失くして仕舞わない様に守ります。
それが私の戦いなんです。」
まだ『空神様』は半信半疑の様な顔をして私を見つめていたけれど、私は柔らかく微笑みながら続けた。
「だから……帰って来て下さいね。
犬族の皆とずっと待っていますから。
必ず、私の所に帰って来て下さい。」
「ふはっ……」
堪えきれないと言った様子で吹き出した『空神様』は、直ぐにまた私をぎゅうぎゅうと抱き締める。
「強くなりやがって、コノヤロウ!
んなコト言われたら俺、死ねねえじゃねェか!」
「そうですよ。
私を残して逝くなんて絶対に許しませんから……」
言い終わらない内に私の唇は『空神様』の唇で塞がれ
「……ん…っふ…」
気が遠くなる程に舌を絡め取られて仕舞った。