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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第14章 God bless you【ドリフターズ】


「土方歳三さんという方が、直さんへ御礼を伝えて欲しいと…。」

「はァッ!?」

今度は『空神様』の方がぽかんとしている。

私、何か可笑しな事を言っただろうか?

あの彼の言葉通りに伝えただけなのだけれど。

すると『空神様』の両手が私の肩をがしりと掴んだ。

「……手前ェ、土方歳三に会ったンか!?」

「あ……ごめんなさい。
 あの人ご自身が土方歳三さんなのかは分からないんです。
 ちゃんと確認しておくべきでした。
 本当にごめんなさい。」

「そいつ……他に何か言ってたか?」

そう……確か彼は……

「新選組を知っているかって聞かれました。
 だから、私の夫が所属する部隊名ですって答えたんですけど…」

そう言った途端、『空神様』は顔を伏せ、身体を小刻みに震わせ始める。

私、何かいけない事をしてしまったのだろうか?

「……直さん?」

不安さも顕に震える声で名前を呼ぶと

「どわっはははははははっ……」

『空神様』はいきなり大声で笑い出し、私の身体を思い切り抱き寄せた。

「え……あの……」

この行動の理由が全く理解出来ず、只おろおろとする私の顔中に『空神様』は何度も口付ける。

「やっぱり手前ェは最高の嫁だ!
 、ずっと俺の傍を離れンじゃねえぞ!」

やっぱりどうして『空神様』がこんなに喜んでいるのか分からない。

だけどこの上無く嬉しそうな『空神様』を見ているだけで堪らなく幸福だ。

だから私もにこにこと笑いながら『空神様』から与えられる口付けを全て受け止めた。
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