第14章 God bless you【ドリフターズ】
私が落ち着くのを待って、少し身体を離した『空神様』は真剣な顔付きになっていた。
「……で、どーして手前ェが此処に居るんだ?」
そうだ。
『空神様』と他の漂流者(ドリフ)の皆は、私が飛龍まで辿り着いた経緯を知らないんだ。
私は簡潔に、それでも出来るだけ丁寧に説明をする。
「ふン……漂流者(ドリフ)狩りか……
そんな事になってやがったとはなァ。」
憎々し気に舌打ちをした『空神様』は、その勢いのままの視線を私に向けた。
「そんで、手前ェは一昼夜、俺以外の男と二人きりで居て………
何も無かったんだよなァ?」
一瞬ぽかん…としてしまったけれど……これってもしかしたら妬いてくれてるの?
そう思い付いたら凄く嬉しくて、私が吹き出してしまうと
「手前ェ…何が可笑しいってんだ、コノヤロウ!」
いつも通りの悪態を吐きながらも『空神様』の顔は真っ赤になっている。
「何かある訳が無いじゃないですか。
私に触れられるのは直さんだけですよ。」
私がクスクス笑って答えれば「まァ、そーなんだけどよォ」と唇を尖らせる『空神様』。
そんな初めて見る『空神様』が余りにも可愛らしくて目を細めた私はとても大切な事を思い出した。
「直さんっ……ごめんなさい!」
「ごめんなさいって事は……
やっぱりその野郎と何かあったンか!?」
「違います!
その男性から直さんに伝言を預かっていたのを忘れてて……」
「伝言?
………俺に?」
不審気に眉を顰める『空神様』に向かって、私は一呼吸置いてから丁寧に告げた。