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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第14章 God bless you【ドリフターズ】


「手前ェには見せたく無かった。」

『空神様』がぽつりと呟く。

『空神様』の腕に抱かれて横たわった私は、その悔しそうに歪む顔をそっと見上げた。


「俺の手は沢山の物を燃やしちまう。
 それを手前ェだけには見せたく無かったんだ。」

そう、『空神様』は私がこの世界へ飛ばされて来る直前に経験した事を知っているみたいだ。

以前から「コイツにもう燃える町を見せるワケにはいかねェ」と、その剛胆な印象に反して神経質な程私に気を遣ってくれていた。

「………俺の事、怖ェか?」

私を見ず、視線を空に漂わせたまま『空神様』は問い掛ける。

………怖くないと言えば嘘に成る。

この人は全てを燃やし尽くす術を持っているからだ。

でも……それは………

何も言えず僅かに身を縮ませた私を、『空神様』の腕が一層強く抱き寄せた。

「……消えちまおうか?」

再びの呟きに私はまた『空神様』の顔を見上げてみれば、今度は私の目をじっと見つめてくれている。

「なあ、……二人で消えるか?
 一緒に消えちまうか?」

「………でも…」

誤魔化しが効かない程に震える声を出した私の言葉を遮って、『空神様』は啄む様に口付けてから……笑った。


「の為なら……
 紫電改を捨てても構わねェ。」


それは…………

それは………………駄目だ。

この人は怖い人。

全てを燃やし尽くす術を持っている人。

でも、それは………何かを、そして誰かを守る為に『今は』必要なんだ。
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