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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第14章 God bless you【ドリフターズ】


私……此処に居たら駄目だ。

私が此処に居れば、犬族の皆まで危険に晒してしまう事になる。

青ざめてかたかたと身体を震わせる私を不憫に思ったのか、彼は若干の柔らかい声で言った。

「現在、オルテ南岸に漂流者(ドリフ)が集結していると聞いた。
 其処へ向かうと良い。」

オルテ南岸……確か山口多聞少将が居て、航空母艦『飛龍』が在るって……。

………きっと『空神様』も其処に居る。


「お願いしますっ!
 私を其処まで連れて行って貰えませんか!?」

私は跪く様にして彼に縋り付いた。

「……は?」

これ迄無表情だった彼の顔が、初めて驚きに歪む。

私だって会ったばかりの人に頼む事じゃない事くらい理解している。

大体、彼が信用出来る人なのかどうかすら分からない。

だけど今の私に頼る事が出来るのはこの人だけなんだ。

一人で此処を出たって『空神様』の元へ辿り着けるなんて到底思えない。

「お願いです!
 私に出来る御礼なら何でもしますから……
 お願いします!」

彼の軍服を掴んで必死に懇願する。

「何故俺がそこまで貴様の面倒を見なければ成らんのだ。」

「無茶を言っているのは承知です。
 でも、私……どうしても夫の元へ行かないと…」
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