第14章 God bless you【ドリフターズ】
「あの……ありがとう…ございました。」
私をじっと見下ろしたまま立って居るその男性に御礼を言う。
助けてくれた……って事で良いのだろうか?
だけど彼は何も応えてはくれない。
その無言の間が妙に気不味くて、何か問い掛けようと思ったその時……
「貴様は、漂流者(ドリフ)なのか?」
低く抑揚の無い声で問われたのは私の方だった。
「えっと……そう…らしいです。」
漂流者(ドリフ)である事を受け入れられてはいないけど、それでも自分がそう呼ばれているのは事実だ。
だから私は遠慮がちに頷いた。
「では何故、こんな所に独りで居る?
仲間の漂流者(ドリフ)はどうした?」
「あの………」
どうやって説明すれば良いのだろう?
困惑しておろおろとする私を見て、彼は一つ息を吐いた。
「まあ、良い。
何にせよ俺には関係の無い事だ。
……唯、一つだけ忠告しておいてやる。」
少しだけ和らいだ声に私が顔を上げると、また彼は私をじっと見つめている。
でも、その視線は……私を通り越して別の誰かを思い浮かべている様だった。
「近々、廃棄物(エンズ)が徹底した漂流者(ドリフ)狩りを始める。
此処も直に見付かるだろう。
我が身が可愛いのならば直ぐ様此処を離れ、
他の漂流者(ドリフ)と合流する事だ。」
鼓動がどくんどくんと大きな音を発てる。