• テキストサイズ

孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第14章 God bless you【ドリフターズ】


「あの……ありがとう…ございました。」

私をじっと見下ろしたまま立って居るその男性に御礼を言う。

助けてくれた……って事で良いのだろうか?

だけど彼は何も応えてはくれない。

その無言の間が妙に気不味くて、何か問い掛けようと思ったその時……

「貴様は、漂流者(ドリフ)なのか?」

低く抑揚の無い声で問われたのは私の方だった。

「えっと……そう…らしいです。」

漂流者(ドリフ)である事を受け入れられてはいないけど、それでも自分がそう呼ばれているのは事実だ。

だから私は遠慮がちに頷いた。

「では何故、こんな所に独りで居る?
 仲間の漂流者(ドリフ)はどうした?」

「あの………」

どうやって説明すれば良いのだろう?

困惑しておろおろとする私を見て、彼は一つ息を吐いた。

「まあ、良い。
 何にせよ俺には関係の無い事だ。
 ……唯、一つだけ忠告しておいてやる。」

少しだけ和らいだ声に私が顔を上げると、また彼は私をじっと見つめている。

でも、その視線は……私を通り越して別の誰かを思い浮かべている様だった。

「近々、廃棄物(エンズ)が徹底した漂流者(ドリフ)狩りを始める。
 此処も直に見付かるだろう。
 我が身が可愛いのならば直ぐ様此処を離れ、
 他の漂流者(ドリフ)と合流する事だ。」

鼓動がどくんどくんと大きな音を発てる。
/ 834ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp