第14章 God bless you【ドリフターズ】
すると三人の男は急に大人しくなり「女だ」と口々に呟き始める。
「こんな所で人間の女に会えるとは……
食糧よりも貴重ではないか。」
「全くだ。
何よりも先に、この女を喰いたいぞ。」
背筋が凍る程の厭らしい笑みを湛えた男達の手が私に向かって伸びて来た。
このまま此処で乱暴される?
それとも連れ去られるのだろうか?
犬族の皆が私の姿を隠す様に周りを取り囲んでくれる。
だけど男達はそれを簡単に殴り倒して行った。
「観念するんだな……。
たっぷりと可愛がってやるぞ。」
一人の男の手が私の肩に触れた瞬間………
激しい衝撃音と疾風……目を開けていられない程に。
暫くの後、今度は突然訪れた静寂に目を開けてみると、男達は呆気無く倒れ込んでいて……
私の目前には大きな背中が在った。
舶来の軍服を纏い、腰には日本刀の二本差し。
烏の濡れ羽の様な漆黒の髪に、広い肩幅。
そして振り向いたその目は、何故か哀し気に揺れながら私を真っ直ぐに見下ろしていた。