第13章 一月一日【薄桜鬼/ドリフターズ】
良く回らねえ頭でぼんやりとそんな事を考えていると、は俺の前で三つ指を付いて深々と頭を下げた。
「明けましておめでとう御座います。」
「ああ?何言ってんだ。
もう夜中だぜ。」
の上品で艶っぽい姿に喉を鳴らしながらも、俺はいつも通りを装う。
「でも年が明けてから初めてお顔を合わせたから。」
嬉しそうなの笑顔を見て俺はまた喉を鳴らし、ついさっきまで考えていた事が再び頭を過ぎった。
「なあ……。
お前、何か欲しいもんとか無えのか?」
「え…?」
「着物でも簪でも…何でも構わねえぞ。
遠慮しないで言ってみろ。」
別に物で釣ろうとかそんな下衆い考えじゃ無かったが、このまま放って置いたらは俺の側から居なくなって仕舞うんじゃないかと微かに不安を感じていた。
「……欲しい物…ですか?」
は顔を顰めて「んー……」と唸りながら真剣に考えている。
何だよ…女だったら欲しいもんの一つや二つ、直ぐ出て来るんじゃねえのか?
この女の欲の無さに驚きを通り越して呆れ返っていると
「あっ…!」
は目を輝かせて声を上げた。
「私、歳さんとの子供が欲しいです。」