第12章 密か【イケメン幕末】
「だから、お前が女子で良かった。
本当に良かった。
ありがとう……。」
ずっと謀っていた私に礼など……
本当にこの御方は………
もう何と言えば良いのか……只の一つも言葉に出来ない私は、至極自然な流れで近藤殿の胸に寄り添った。
そんな私を受け止めてくれつつも、近藤殿のお身体が強張るのを感じる。
「あー……いやぁ……
自分の想いを告げておいて言うのも何だが…
うん……これは困った。」
近藤殿に拒絶されたと感じ、私が不安気にそのお顔を見上げると
「あっ……違う。
違うぞ、。
お前に触れられるのはこの上無く嬉しいのだが……
こうなると、俺の抑えが利かなくなって仕舞いそうだ。」
抑えが利かない……一瞬遅れてその意味に気付いた私の身体が一気に火照り出した。
二年もの間、お慕い続けた人。
その人が私を可愛いと言ってくれて、困った顔をしながらも熱っぽい視線を注いで下さる。
ならばもう、私には躊躇う理由など何一つ無い。
「近藤殿……私も………
私もお慕いしておりました。
ずっと、貴方だけ………」
そう囁いてから近藤殿の背中に腕を回し、厚い胸板に一層身を寄せれば、近藤殿の両腕がそれに応えてくれた。
「こんなつもりでは無かったのだが……
ああ、お前が可愛過ぎるのがいけない。
もう……止まれぬからな、。」
苦しい程に抱き締められ、そしてそのまま二人共に畳へと倒れ込んだ。