第12章 密か【イケメン幕末】
そうなれば決着はあっという間だ。
四人の男達は赤子の手を捻るが如く簡単に遇われ、地面に倒れたまま呻き声を上げている。
「何なんだ、こいつらは。
攘夷志士にしちゃ、それ程高尚にも見えねえが。」
土方殿が呆れた様子で呟くと
「単に嫌がらせをしたいだけなんじゃないですか。
近藤さんと土方さんのお陰で
新撰組は世間に一層注目されていますからね。」
沖田殿はくすくすと笑いながら答えた。
「とし、総司……すまないが後は頼むぞ。
さ、隼多。
立てるか?」
少し焦った様子でそう言った近藤殿は、腰を下ろしたままの私の身体を支えて立ち上がらせる。
そのまま屯所へ戻り近藤殿の部屋へ通されても、私の身体は震え続けていた。
余りの不甲斐無さに打ち拉がれ、録に思考も働かない。
只ぺたんと座り込み茫然としていた。
「大丈夫か、隼多。
先ずは手当てをしなければな。」
近藤殿に優しく声を掛けられても私は動けない。
「私など……捨て置いて下さい。
………私は何も出来なかった。
只の一つも近藤殿のお役には立てなかった。」
茫然自失で一点を見つめたまま呟く私の前に近藤殿は屈み込み、そっと頭を撫でてくれる。
「そんな事は無いぞ。
真剣相手は初めてなのだから仕方あるまい。
しかし隼多は勇敢だったじゃないか。」
「勇敢である事など何の価値もありませんっ!」
折角の近藤殿の御言葉に、私は噛み付く様に応える。
消えて仕舞いたい程に悔しくて、己が情けなくて、いつもなら嬉しく思う近藤殿の御心遣いすら素直に受け入れられない。
こんな自分が益々自分を追い込んでいく。