第12章 密か【イケメン幕末】
これではまるで近藤殿に押し倒されたみたいではないか。
そう思うと私の鼓動は早鐘の如く打ち出し、顔に熱が集中した。
それでも何とか平静を装い
「近藤殿……大丈夫ですか?」
そっと声を掛けてみても、何故か近藤殿は私を見下ろしたまま微動だにしない。
「あの………」
「隼多は……良い匂いがするな。
それに………柔らかい。」
「……………っ!」
突然に近藤殿の顔が私の首筋に埋まる。
これは一体………
私が女だと気付かれて仕舞ったのだろうか?
それとも近藤殿は衆道の気が……
いや、只酔っておられるだけで、深い意味など無いのかもしれない。
色々な考えが頭を過り、激しく動揺する私の上で………
近藤殿のすうすうと気持ちの良さそうな寝息が響き出す。
あ……眠って仕舞われたのか。
ほっとした様な、残念な様な……また複雑な思いが胸を過る。
だけど……微かに香る近藤殿の汗の匂い。
熱くて逞しい身体、その重み。
それを意識すれば、どうしようも無く私の女の部分が首を擡げ始めた。
駄目だ。
駄目だと分かっているのに……
気が付けば私の両腕は、近藤殿の背中に回りその愛おしい身体を抱き締めていた。