第10章 Messy Lover【イケメン戦国】
二人で褥に横たわり心地好い倦怠感に身を委ねていると
「ね……。」
家康は私の髪を愛おしそうに撫でながら問い掛けて来た。
「なあに?」
私が薄く瞼を開いて家康を見つめると思いも寄らない言葉が紡がれる。
「未来の俺の事……教えて。」
私はこくりと喉を鳴らす。
「は500年先の未来から来たんでしょ?
俺の一生がどんなだったか知ってるよね?」
家康がこんな事を聞いて来るなんて……。
正直、家康はそういう類いに全く興味が無いんだと思っていた。
私の心臓はドクドクと痛い程に逸る。
「あ……それとも俺の名前なんて未来には伝わって無いの?」
「ううん、そんな事ないよ。
家康は………凄く有名だよ。」
そう、今私を抱いていてくれるこの人はあの徳川家康なんだ。
小学生だって知ってる有名過ぎる程に有名な世界的偉人だ。
改めてそれに気付いた私の身体は僅かに震えてしまう。
だけど……伝えてしまってもいいのかな?
この人が江戸幕府を開いて、この国の未来を大きく動かす事を……。
私の言葉一つで歴史が変わってしまうかもしれない。
そんな可能性がもの凄く怖い。
躊躇ってしまい何も言えず黙り込む私を見た家康がふっと微笑んだ。
「聞きたい事は一つだけなんだけど。」
一つだけ……?
一体何だろうと私は再び家康へ視線を向ける。
「俺に子供は居た?」