第10章 Messy Lover【イケメン戦国】
「実は……信長様の力を借りたんだ。」
「信長様……?」
「俺がと祭りに行けなかった事を
同行してた政宗さんが信長様に喋ったらしくて……。
『俺の所為での機嫌を損ねた家康に
謀反を起こされては敵わん』とか言い出して。
………この手配をしてくれた。」
驚いて目をパチクリしている私を見て、家康は拗ねた様に言う。
「俺は……個人的感情で動いたりはしないのにさ。」
そんな可愛らしい家康の姿に私は吹き出してしまった。
家康はそう言うけど、信長様に同行中はきっと不機嫌だったんだろうな。
信長様はそんな家康の様子に気が付いて、政宗さんに探りを入れたんだ。
信長様ってあの豪胆な印象に反して、些細な事に気を配る人だから。
「何が可笑しいの……?」
クスクスと笑い続ける私の鼻先を家康の指先がそっと摘まむ。
「ううん。
可笑しいんじゃなくて、嬉しいんだよ。
本当にありがとう……家康。」
にっこりと笑った私に、家康も漸く笑顔を見せてくれた。
「その浴衣、やっぱり良く似合ってる。」
「もしかして……家康が選んでくれたの?」
「当たり前でしょ。
の身に着ける物なんだから。」
ああ……この人は何て愛おしいんだろう。
家康の一挙一動が私の心を震わせる。
泣き出してしまいそうで喉を詰まらせる私の手を家康はそっと握った。
「さ……おいで。
俺だってと祭りに行くのを楽しみにしてたんだからね。」