第10章 Messy Lover【イケメン戦国】
早速その浴衣に着替えて簡単に身仕度を整えた私が家康の御殿に向かうと、
「家康様が首を長くしてお待ちですよ。」
女中さんが微笑みながら部屋へ案内してくれた。
何かいつもより仰々しいな…なんて思いながらその部屋に入ると……
私の目に飛び込んで来たのは、部屋に面した中庭に設置された屋台の数々。
ちゃんと売り子さん達も居て、色とりどりの提灯がキラキラ輝いている。
「凄い……何これ?」
想像も付かない景色に目を奪われていると
「……気に入った?」
背後から聞きたくて堪らなかった声が響き、私の身体はその声の主の両腕に絡め取られた。
「お帰りなさい、家康。」
「ただいま、。」
先ずは目を閉じて家康の温もりに酔いしれる。
そして私は声を弾ませて家康に聞いた。
「どうしたの、これ?」
「必ず埋め合わせはするって言ったでしょ。」
「だからって、こんな……。
御殿の中庭にお祭りを再現しちゃうなんて大掛かり過ぎだよ。
大変だったでしょ?」
「俺がの為にする事で大変な事なんて何一つ無いよ。
俺を誰だと思ってるの?」
得意気に話す家康に私の顔も綻んでしまう。
「うん。流石は家康だね。
凄く嬉しい。
ありがとう。」
有りの侭の気持ちを真っ直ぐに伝えると、家康は少し照れた様に私から目を反らした。