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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第9章 朧月【イケメン戦国】


俺は何をしているのか?

信長様に『目を離すな』と言われたとは言え、何を律儀に従っているんだ?

自分でも馬鹿馬鹿しいとは思うが……目を反らせない。


俺の目前で睦み合う信長様と。

まるでこの世に二人きりかの如く、お互いを貪っている。

誰よりも欲して愛した女が、他の男に抱かれているのを大人しく見ているなんて全く俺らしくねえ。

本当に此れ以上の懲罰は無い。

信長様から与えられた苦痛に身体中から血が噴き出しそうだ。


今のは仁王立ちになった信長様の前に膝間付き、その一物にしゃぶり付いている。

「んっ………
 随分と政宗に仕込まれた様だな、。」

そう言って満足気に目を細めた信長様がの頭を愛おしそうに撫でると、もとろんとした視線を信長様に向けた。

俺が仕込んだ訳じゃねえ……そう喉元まで出掛かったが、俺は何とかその言葉を飲み込んだ。

何故なら俺はそんな風にに愛された事は無い。

無理矢理に口に突っ込んでその中に吐き出した事は何度も有るが、そんな風にの方から嬉々として愛して貰った事など一度として無いんだ。

それを信長様に覚られたく無くて「俺が仕込んだのでは無い」と言えなかった。

こんな二人を見せ付けられている癖に、まだ己の自尊心を守ろうとする自分が滑稽で笑えて来る。
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