第9章 朧月【イケメン戦国】
………完敗だ。
幸福そうに泣きじゃくると、その身体に如何にも大切だと言わんばかりに手を這わせる信長様。
そんな二人の姿を目にすれば、もう悔しさすら感じねえ。
「ははっ……」
気が付けば俺は渇いた笑い声を漏らしていた。
「さあ、政宗……どうする?」
を胸に抱いたまま、信長様が俺に問う。
どうするも何も……俺にはもうどうする事だって出来やしねえ。
答えられずにいる俺を信長様の鋭い視線が射抜いた。
「では、其処で見ていろ。
此れが貴様への懲罰だ。」
信長様は言うや否やを押し倒し組み敷く。
「あ……信長様…?」
当然は困惑した様子を見せたが
「貴様は何も考え無くとも良い。
只ひたすらに俺に身を任せろ。
俺がどれだけ貴様に触れたかったのか……
その身体に刻み込んでやる。」
そんな信長様の言葉と繰り出される愛撫には目を閉じ、大人しく溺れる覚悟を決めた様だ。
「ふん……相も変わらず愛い奴だ。」
二人の唇が重なり、自然に舌を絡ませ始める。
一頻りの咥内を堪能し終えた信長様の濡れた唇が弧を描き、再び俺の顔を見据え言った。
「一瞬たりとも目を離すな、政宗。
俺に愛されるがどれ程美しいのか……
貴様に見せ付けてやる。」