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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第8章 横恋慕【イケメン幕末】


何だか落ち着かなくて、そわそわと身を縮ませる私。

すると突然近藤さんは一際大きな声を張り上げる。

「皆に言っておく事がある。」

その威厳すら感じられる物言いにその場が水を打ったようにしんと鎮まり、全員の視線が近藤さんに向けられた。

そして近藤さんも全員の顔を見渡して告げる。


「本日よりは新選組局長近藤勇の妻となった。
 皆もそれを確りと踏まえておいてくれ。」


全員が唖然としていた。

そう……私も含めて。

誰も何も言えないで居る中、近藤さんの話は続く。

今度は少し照れ臭そうに頬を染めて……。

「なので……その…何だ……
 これ迄の様にに気軽に触れたりする事は許さん。
 ………宜しく頼む。」

そう言って頭を下げる近藤さん。

暫くの静けさの後、その場にわっと歓声が上がる。

皆が口々に祝いの言葉を叫び、私と近藤さんを温かい目で見ていてくれた。

その大騒ぎに巻き込まれながら、嬉しくて幸福で身体を震わせる私の肩を近藤さんがそっと抱いてくれる。

「もう逃げられないぞ、。
 覚悟は良いか?」

言っている事とは裏腹に、優しい笑顔を浮かべる近藤さんの姿が涙で滲んだ。

「はい。
 何処までも着いて行きます。」

「良し。
 それでこそ近藤勇の妻だ。」

そう言いながら二人で微笑み合ったけれど、そんな私と近藤さんの姿に大騒ぎしている皆は気付かなかったみたいだ。
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