第8章 横恋慕【イケメン幕末】
私と近藤さんが漸く身体を離したのはもう昼前だった。
「流石にとしに叱られてしまう」と、近藤さんは苦笑いしながら屯所に帰って行った。
四季を出る際には近藤さんから
「こんなに無茶をさせても疲れているだろうが
今夜また屯所に食事を作りに来てはくれないか?」
と頼まれた。
「勿論、構いませんよ。」
私は快く引き受けて……そして今、屯所を訪れている。
全ての膳を運び終え、隊士の皆さんが席に着いたのを見届けた所で私が広間を出ようとすると
「ああ、。
お前も此処に居てくれ。」
近藤さんが私を引き留める。
「………はい。」
不思議に思いつつも一番下座に腰を下ろそうとした私に近藤さんは再び声を掛けた。
「、其処では無い。
お前の席は此処だ。」
そう言って近藤さんが示したのは上座……近藤さんの隣だった。
「で……でも………」
流石に躊躇してしまう。
「構わん。
さあ、此処に。」
結局、近藤さんの強い視線と言葉に促されて私は其処に腰を下ろした。