第8章 横恋慕【イケメン幕末】
「お前に新選組局長の妻という重責を背負わせる事になる。
それはとても心苦しいが、それでも俺は……
新選組もお前も、どちらも手離したく無い。」
「近藤さん……」
「俺は随分と欲張りな男の様だ。」
そう言って笑った近藤さんの目は少しだけ悲しそうに揺れていた。
そんな顔は近藤さんには似合わない。
近藤さんにそんな顔をさせちゃいけない。
強い想いが私の中を駆け上がって来た。
「いいえ、近藤さん。
私も欲張りなんですよ。
私は新選組局長の近藤さんが好きなんです。
だから私も新選組と近藤さん……
両方とも欲しいんです。」
「……では……」
「愛しています、近藤さん。
もう私を離さないで。」
「ああ………」
感嘆の声を上げた近藤さんに力強く抱き締められる。
「離すものか、。
二度とお前を手離したりするものか。」
全身に近藤さんの温もりを感じ、心も身体も幸福の絶頂に打ち震えてしまう。