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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第8章 横恋慕【イケメン幕末】


「…………ん。」

僅かな時間、意識を失っていたみたいだ。

目を覚ますと私は近藤さんの腕の中に居た。

「…大丈夫か?
 身体は辛くないか?」

近藤さんの声が優しく響く。

「はい……大丈夫です。」

「そうか。」

微笑んだ近藤さんの腕に力が込められ、私はその胸に顔を埋めた。

「……
 そのままで聞いてくれ。」

私は無言で小さく頷く。

「俺は……お前の事だけを考えては生きて行けない。
 俺は新選組の局長だ。
 としや、総司や…隊士全員をお前と同じ位大切に思っている。
 その所為でお前に寂しい思いや辛い思いを
 させる事もあるだろう。」

言われる迄も無く、そんな事は重々承知の上だ。

だって、そういう近藤さんだから……私は好きになったのだから。

でも……近藤さんは何が言いたいのかな?

そうだから私と共には居られない……そう言われてしまうんじゃないかと私は少し身構える。

「だから……を俺の人生に巻き込む事に決めた。」

「え………?」

近藤さんの腕の中で私が顔を上げると、思いの外真剣な眼差しを向けられていた。

「……
 俺と一緒になってくれ。」

「…………っ。」

想像もしていなかった言葉に胸が詰まる。

返事をしなくちゃと思う程、言葉が出て来ない。

じわじわと視界を滲ませる私の髪を、近藤さんの大きな手が鋤く様に何度も撫でる。
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