第8章 横恋慕【イケメン幕末】
そこに立って居たのは……近藤さん。
え……どうして?
こんな場面を見られてしまって動揺を隠せない。
近藤さんも驚いたみたいで跋が悪そうな顔をしてる。
そして最初に言葉を発したのは土方さんだ。
「何だよ、近藤さん。」
少し挑発する様なその声色に、近藤さんの表情が固くなるのが分かった。
「あー……とし、済まないが
と二人で話をさせて貰えないだろうか?」
「今更何を話す気だ。
こいつを泣かせたのは近藤さんじゃねえのかよ?」
「そう……なのかもしれん。
だからと話がしたい。」
真っ直ぐに私を見つめる近藤さんの瞳に心が揺らぐ。
ついさっき、もう諦めようとしてたのに。
でもやっぱり私は……。
「こ………」
近藤さんに向かって身を乗り出した私を押し留めて、土方さんが間に割り込んで来た。
「勝手ばかり言うなよ。
あんなに泣かせた野郎にこいつは渡せねえ。」
ぴりぴりと張り詰めた空気が流れる。
私の所為で近藤さんと土方さんが険悪になるなんて耐えられない。
自分がどうすれば良いのか分からなくて身体が強張ってしまう。
すると突然近藤さんは土方さんに向かって土下座をした。
その姿には私だけでは無く、土方さんも驚いたみたいだ。