第7章 Phantom pain~幻肢痛~【薄桜鬼】
俺に激しく求められ、一頻り泣きじゃくったは力尽きてしまったのか、泥の様にぐっすりと眠っていた。
そこで俺は漸くの身体をそっと手離し、先程から建物の外に感じていた気配の元へ向かう。
「天霧。」
俺が自分の気配に気付いて出て来る事を覚っていたのだろう。
天霧は無表情のまま律儀に頭を下げる。
「何かあったか?」
俺の問いに天霧は僅かに言い澱む仕草を見せたが、俺が強い視線を向けると一つ息を吐いてから口を開いた。
「風間……貴方に会いたいと言う男が居ます。」
天霧に導かれ随分と森の奥まで入って行くと、そこに居たのはの兄だった。
全身が血塗れの状態で横たわっており、既に虫の息である事は一目瞭然だ。
「誰にやられた?」
そんな男を見下ろし、俺は冷静に聞いた。
「集落の……奴等……にっ…」
男は言葉と一緒に血反吐を吐く。
「下手を打った……。
の……顔が…ちらついて……」
人間を襲おうとして逆にやられた…という訳か。
「何故、俺を呼んだ?」
そう言った瞬間、男の右手が真っ直ぐに俺に向かって突き上げられ、空を掴む様にがくがくと震える。