第7章 Phantom pain~幻肢痛~【薄桜鬼】
「集落に居られなくなり、また新たな生き場所を探す。
それを何度も何度も繰り返し……
私と兄は疲れ切っていました。
ただ追い出されるだけならまだ良かった。
でもある時、人間は私達の存在事態を排除しようとしたのです。」
は人狼として生まれただけだ。
でもそれが許されない……その葛藤は如何程だったであろうか。
俺の様に闘える術と環境を、折れない精神と自尊心を持っていたなら何かが違った筈だ。
でもこのにはそれが無い。
だが、それが無いからこそ……今のなのだ。
俺が愛おしいと感じるなのだ。
「集落の人々から夜中に急襲を受けて、
兄は私を守る為に人間を傷付けてしまいました。
そうなればもう、止まらなかった。
人間の血の味を知った兄は……
もう止められなかった。」
はぼろぼろと涙を溢しながら俺の目を真っ直ぐに見上げた。
「千景様っ……怖いですか?
私の事、怖いですか?
私なんてっ……生きていても意味が無いですか?」
「………ふざけるな。」
俺はそう呟いて、激しくの唇を塞ぐ。
「下らない事を言うな、。
お前との子が欲しいと言っている俺にとって
お前の存在は何事にも変え難い。
子が欲しいと言う事は
お前自身が欲しいからだ。」
「………っ。
あ………うああっ………。」
俺の胸に顔を埋めて幼子の様に泣きじゃくるを抱き締めながら、俺は一つの結論を導き出していた。