第7章 Phantom pain~幻肢痛~【薄桜鬼】
俺の呟きを聞いたは苦しそうに目を閉じ眉をひそめ、男は一層俺に対する敵意を放出させた。
「俺達が恐ろしく無いのか?」
男の問いに俺は声を上げて笑う。
「恐ろしいだと?
勘違いするなよ。」
「………何だと?」
男の目が不審さを顕に歪んだ。
そんな男に向かって、俺は低い声で告げる。
「お前の方こそ……
自分達より余程悍ましい者を相手にしている事に
気付くべきだろう。」
「お前は………」
俺を見つめ続ける男の目にじわじわと畏怖の色が滲み始めた。
「……こいつは駄目だ。
俺と一緒に来い!」
男の顔から血の気が失せ、慌てての腕を掴む。
「兄さん……?」
「こいつと一緒に居たら駄目だ!
逃げるぞ!」
「私が一緒に行けば……
兄さんはもう人を襲うのを止める?」
「そ……それは……」
「じゃあ、行かない。」
は男の手を振り払った。
「!」
「私は今まで通り、此処に居る。」
「!
この男は……」
男が言い掛けた言葉を遮る様に俺は言った。
「俺が恐ろしいならば貴様一人で逃げれば良い。」
そして俺はまたを背後から両腕で抱き締めて続ける。
「安心しろ。
お前の妹を傷付ける様な事はしない。」