第7章 Phantom pain~幻肢痛~【薄桜鬼】
その後、買い物から戻ったの背後に立ってみる。
「……千景様?」
振り向き俺を見上げるの目は不安気に揺れていた。
「血の匂いがするな。」
俺の言葉にびくんと肩を弾ませたの身体を背後から抱き締め、首筋に顔を埋めてすんと鼻を鳴らす。
「獣の血か……。
女の身体から漂うには随分と不釣り合いな香りだ。」
「止めてっ…
離して下さい!」
俺の身体を突き飛ばし、腕の中から逃れたはかたかたと震えていた。
怒っているのか、憂いているのか……
いや、怯えているという表現が一番妥当な気がする。
身体から血の匂いを漂わせる女が怯えている……何とも唆る状況だ。
「すまない。
別にお前をどうこうと問い質すつもりは無い。
安心しろ。」
そう言って俺はに背を向ける。
その背中にが発する安堵と躊躇の気配を強く感じた。