第7章 Phantom pain~幻肢痛~【薄桜鬼】
ある日、近くの集落へ買い物に行くと出掛けたを見送った直後、漸く俺の前に天霧が姿を見せた。
「随分と遅かったではないか、天霧。」
「風間、貴方は一体何をしようとしているのです?」
「ふん……やはり俺の様子を探っていたか。」
「当然です。
風間が此処から動かない理由を考えていたのですが
全く検討も付かない。
なので直接伺いに来た次第です。」
「薩摩に同行するよりも愉しい物を見つけた。
只それだけだが?」
悪びれもせず言い放った俺の言葉に、天霧は何時もの様に盛大な溜め息を吐いた。
「あの女に執心なのですか?」
「まあ、そう言う事になるだろうな。」
俺がこうなって仕舞えばもう梃でも動かない……当然天霧は理解しているだろう。
暫くは貴方の好きにすれば良い、何かあればまた迎えに来る…と、天霧は呆れた様を隠す事無く去って行った。
天霧がその去り際に残した一言が、俺の中にぼんやりと浮かんでいた考えを肯定した。
「風間……
あの女は恐らく、人間ではありませんよ。」