第10章 ボクゥ、キミ苦手やねん。/弱虫ペダル、御堂筋翔
「騙したか!」
「こんなことで騙されるなんてぇ、キミィどーもならんなぁ」
「騙した?」
「いやぁ。騙すは人聞き悪いなぁ。ボクが悪いヒトみたいやないかぁ。せいぜい引っ掛けたってとこやろなぁ」
「ヒッカケチャ?ヒ、ヒッキャキェチャ…ヒャッキャキェチャ…」
「止めぇ!キモい!どんどん違くなって来とんで。ひぃ、かぁけ、た!引っ掛けたや」
「ヒィ、カァケ、ヒャ。ヒッカキェヒャ」
「…要らんことペラペラ話すくせに思わんとこで転けよったなぁ。流石キミや。訳分からん」
「うぅ…。何足る前後不覚。悔しい…!」
「…そういうとこやで、キミィ。ここは前後不覚の出番やないよ?」
「意識混濁…」
「だからぁ!詰め込んだ言葉ぁフィーリングで吐き散らかしたらあかんて」
「フィーリング大事仲間のあなたにそんなことを言われようとは…」
「キミとボクで何の仲間もないわ。下らんこと言わんとちゃんと勉強せぇ」
「してますよ」
「仕方を考え直し。引っ掻けたは宿題や。よう練習してハツオン出来るようになり」
「宿題ですか」
「せや。ほな、ここで」
「?何が?」
「バス停やろ。キミはこっからバスに乗って帰り。ここまで我慢して付き合うたんやから、もうええやろ」
「ええ!?だってそれじゃ…」
「バス来たで。いやぁ、ええタイミングやわぁ。この路線のバスはええ仕事するなぁ」
「ミドースジくん!」
「ボクは慣れてる言うたやろ。落車して怪我してバイク引いて帰るくらい朝飯前や」
「…ミドースジくんは帰ったら夕御飯ではなく朝御飯を食べる?」
「…やっぱりちゃんと勉強しぃや…。話し辛ぁてかなん」
「夕方に朝飯前…」
「それも宿題や。運転手さん待たせたらあかんで。はよ乗り」
「わかりました。乗ります」
「はよ乗ったり」
「…じゃあ…」
「はい、さいなら。宿題頑張りや」
「次までに?」
「宿題ったらそういうモンやないのん?」
「わかりました!」
「キミィ返事は立派やけど一個も話ィわかっとらんかったりするからなぁ」
「大丈夫です。…ミドースジくんこそ大丈夫?」
「…そうやって言われると何かボクまで話のわからんチンチクリンみたいやから止めて」
「そうじゃなくて大丈夫?」
「くどいで、キミィ。ボクの心配はして要らん。暗なる前にちゃっちゃと帰り」