第10章 ボクゥ、キミ苦手やねん。／弱虫ペダル、御堂筋翔

｢ヒジョージタイやのうてもキミばんばん声かけて来るやないか！勘弁してぇな。ボクゥキミと拘わるのん、ホンマに厭なんやって！｣

｢あら。嫌われた｣

｢分かっとるならあっち行きィ。あーキモキモキモキモォオ！｣

｢キモとは肝臓のこと。学習しました。レバニラ。ホルモン。休肝日｣

｢…何、そのどや顔？｣

｢どや顔。得意そうな顔｣

｢音声アシストか、キミは…｣

｢がんがん発展途上です｣

｢あんなぁ。キミボクの話全然聞いとらんかったやろ｣

｢人の話を聞かないことに関して私はなかなか定評があるようです｣

｢そこら辺の有象無象の話なんかボクもよぉ聞かん。そら別にええわ。どうでもええ。けどボクの話だけはちゃんと聞きぃ。ボクに話しかけたらあかん｣

｢了解｣

｢それ前も聞いたァ！全然了解してないで、キミィ！｣

｢それはそれとして｣

｢いやぁ、これ大前提や！やかましし鬱陶しぃし、キミとは拘わらんかったことにしたいんや｣

｢やかま獅子？｣

｢…あり得ない解釈やで？今キミの後ろにアホな活字が浮かんで見えたわ｣

｢え!?｣

｢振り向いたって見えんて。ホンマ疲れるコォやなぁ｣

｢と、いうことはその活字は裸の王様のお洋服的なメタファで、ミドースジくんは正に裸の王様その人という…お話？｣

｢どういうお話や…。キミと話してると頭痛なって来る｣

｢また脳味噌が脱皮するって話ですか？｣

｢頼むからあっち行ってくれん？ボクゥこんなとこで転がったままキミとアホ話したないわ…｣

｢場所を変えますか？｣

｢場所の問題やない！｣

｢起こしてやるか？｣

｢体勢の話でもないィ！｣

｢我が儘な子猫ちゃんですねぇ｣

｢…キ、キ…」

｢キキィ？猿真似ですか。ふふ。下手くそだな｣

｢アホかぁ!!!キモい!!キッモいわぁあ!!キモいィ!!何言うとんの!?そういうとこやで、キミィ!!｣

｢どういうとこだ？｣

｢ボクなぁ。キミとアホ話したない言うとんや｣

｢アホな話でなければしてもいいのか｣

｢キミとアホ話以外の話をした覚えないィ｣

｢では真面目な話をしましょう｣

｢キミとは無理や｣

｢心外だ｣

｢やかましぃ…ィッ、くそ…ッ｣

｢痛い？大丈夫？｣

｢キモいィ！触らんといてェ。自分で立てるし｣

｢そりゃ立てはするでしょうが痛くはありませんか？｣