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お日様が照れば雨も降る。

第4章 花菖蒲のようなヒト/ハイキュー、青根高伸


「・・・・・ねえねえ青根クン、ちょっとコレどういう事?」

二口が青根の袖を引いた。

興味津々で目がキラキラしている。小原を見れば、こちらも同様。太田さんとその友達に目礼しながら、無言で青根に聞いてくる。

誰?このコら?

「お知り合い?お友だち?マジで?やるじゃん、青根」

二口がキトキトしながら言うのに、青根は困って首を傾げた。

友達じゃないし、知り合い・・・・でもないような気がする・・・。

「知り合いって言うか・・・・何て言うのかな?今朝私がカバンで殴っちゃったんだよね・・・・いや、殴ったんじゃなくて、ぶつけちゃった、かな?」

笑いながら説明しかけた太田さんが、青根を見上げて言い淀んだ。

ぶつかった、だと思う。

「そうだよね。殴ったんじゃない。それは違うな、うん。ぶつけちゃった、だ」

青根の内心を見透かしたように太田さんは頷いた。

「兎に角、ごめん。これからは気を付けるから。でも君もあんな人に近づいちゃ駄目じゃん。ビックリするよ」

青根が赤い顔で頷き返すのを見て、二口と小原が顔を見合わせる。

「どうやったらこんなおっきいヒトの頭にカバンなんかぶつけられるの?日与子」

太田さんの友達が目を瞬いて青根を見上げて、不思議そうに言った。太田さんは頬に手を当てて首を傾げ、フッと笑った。

「跳んでた」

「またァ?止めなって言ったじゃん。ホントにアンタってコは!」

「朝早くであんまり人もいなかったし、ついさ。失敗したよ。反省」

二人のやり取りにもの問いたげな顔をしていたのだろう。青根たちに友達が補足してくれた。

「このヒト、ハイジャンプやってるの。隙があるとすぐびょんびょん跳ぶから、しょっちゅう皆に注意されてる」

太田さんを指差して顔をしかめた友達は、耳の下で切り揃えた髪を揺らして笑った。

その友達を指差し返し、太田さんが真顔で続ける。

「このヒトは弓道部でバチバチ的に矢を射てるこわ~いヒトです。怒らせると射ってくるから気を付けてね」

仲が良いんだな、と、思った。二人も図書館で試験勉強かなと考えたら、何だか嬉しくなった。

太田さんと同じ場所にいられる。

そう思って見ていたら、太田さんと目があった。
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