• テキストサイズ

お日様が照れば雨も降る。

第2章 南風はどこだろう/ムーミンパパ


「黙っていても南風は吹くよ。でも吹かれた自分が何を感じるかは自分次第じゃないかな?いつだってワクワクさせてくれるものは、自分で探さないといかんよ?準備がないのにどうしてワクワク出来るものかな」

コツコツとヘムレンさんがオニタビラコの鉢を指先で突ついた。

「コイツだって、今ロゼットをはって準備してるから、南風の頃には背丈を伸ばしてそよぐ事が出来るんだ。パパ、そんな様子にわしはワクワクするよ?それは、コイツからもわしに南風が吹いてるって事になるんじゃないかな」

瞼が溶けそうに眠くなって来た。

もうちょっとで何かに手が届きそうな気がするのに、こんなに眠いなんてあんまりだ。

このまま眠って春になったら、また一人で悩まなくちゃならないじゃないか。
冬眠の邪魔をするくらいひどい苦悩を春に味わうなんて・・・・・

いやしかし、旨いニシンだった。今頃のニシンは最高だな。こんなに冷たいリンゴ酒もなかなか呑めるもんじゃない。それに暖炉の有り難さ。居心地の良さに暖炉がこんなに関係あるなんて知らなかったよ。

ロゼット。身を縮めてるくせに何て元気なんだ。味の濃いギュッとした緑。地味に見えて華々しく濃い味の緑だ。

私はあんな緑がいいな。うん。あんな感じがいい。

冬に目を覚ますのもたまには悪くないかな。いつもいつもじゃ困りものだがね
シルクハットをあの緑にしたら、ママは何て言うかな・・・・・

/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp