第1章 さいしょ
フッ・・・
「「、!??」」
デカパン「・・・・・・っ!!」
消えた。
ヒカリが、消えた。
「え・・・。
あれ、・・・えっ?」
「えー・・・なに、今の。
さすがのお兄ちゃんもビックリなんだけど?」
・・・・・・あ・・・。
違う、ちがう、ちがう、チガウ。
ッダダダダ・・・
誰かが走る音。
それに、状況を理解出来ていないらしい何人かがざわつく。
嗚呼、やってしまった。
やだ、ちがう。
嗚呼、やってしまった。
やめて、ちがう。
〝嗚呼、やってしまったんだね〟
頭の中で、リピートする言葉。
否定しても、拒絶しても。
目を閉じても。
耳を塞いでも。
意味が、無いんだ。
ねえ、頭の中に響く声を聞きたくも見たくもない時ってどうすればいいの?
塞いでも閉じても、響くんだ。
反響して、跳ね返って。
壊れたテープレコーダーみたいに。
ノイズだらけで。
ジリジリ。ジリジリ。ジリジリ。
がしっ
デカパン「何も、考えなくていいダス・・・!」
ぽたぽた。
いきなり、掛かっていた毛布ごと抱き起こされて抱きしめられる。
あれ、なんで?
なんで?
どうして?
なんで、博士。泣いてるの?
デカパン「だから・・・っ、拒まないでほしいダス・・・っ。
名無・・・」
名無。
誰、だっけ。
ダレのナマエだっけ。
ううん。
なんの、なまえ、だっけ。
ぷつり。と、音も色も消えた気がした。