第1章 さいしょ
デカパン「それでダスね、その後・・・・・・・・・??
なんダスか。騒がしいダスねー・・・」
いきなりの、騒音。
ドタドタ、とか。
バタバタとか。
とりあえず騒がしい音。
博士も知らないみたいで、「様子を見て来るから、ちょっと待ってるダスよ」と言って自分の頭をひと撫で。
あたたかい。
てのひら。
やさしい。
にこ、と優しく。けれど淋しそうに博士は笑ってトレーだけ置いて部屋を出て行く。
いつもあのローテーブルに置かれてるの、何なんだろう。
いつも一言「食べたくなったら食べて欲しいダス」と言い残している事から恐らくは食べ物なのだろう。
ちら、とトレーの上に注目してみる。
ほわほわと白く透ける湯気も見える。
作りたてなのか。
久しく・・・いや何か栄養のあるものを口にしたのはいつだったか。覚えている限りでは、思い出せない。
食べ物?
たべもの。
味?
あじ。
何だっけ、それ。
何だっけ、あれ。
その内考えるのも思い出すのも、億劫になってきてやめた。
考えても、思い出しても、覚えても。
無意味だから。
それまで脳内で呟いていた言葉達をフェードアウトさせていき、また白い空間をどことなく見つめた。