第3章 ふたつめ。
十四松が嬉しさのあまり狂喜乱舞してる。
床やら壁やら天井やらを重力無視して両腕を触手みたいにウネウネさせて、走り回ってる。
僕も僕でまさかの展開にぽかんとする。
まさか。
いや、でも。
確かにあれは本人だ。名無ちゃん。
え、でもなんで?
一ヶ月くらい前までは植物状態だったじゃん。
ピクリとも動かなかったけど、十四松の奇行を見て笑ってた子。すぐに無表情になったけど。めちゃくちゃ可愛かったのは未だに記憶している。
その名無ちゃん、が。
フラフラしながら、だけどゆっくり確実に。歩いてる。喋ってる。笑ってる。
しばらく無言を貫いてたチョロ松兄さんからバズーカの許可が出て、名前も知らないバカに砲撃した。
で。
僕も含めて全員がようやく状況を把握した。
いや訂正。把握してる。現在進行形。
『みんなの、あったかいの・・・が・・・・・・・・・わたしに、つたわって・・・・・・きたんだ・・・。
ぽかぽか、して・・・・・・そしたら・・・わらえた、んだ』
チョロ松「そ、そっか・・・・・・あったかいの、か・・・」
デカパン「・・・良くも悪くも、属性持ちのお前らと・・・接する内に名無の自我が、目覚めたんだと思うダス」
・・・よく解んないけど、結果的に僕達が名無ちゃんに話しかけたからって事なのか?