第2章 ひとつめ。
ガチャ
デカパン「名無、今日はオムライスにしたダスよー」
大丈夫、いつもの声のトーンだ。
いつもの笑顔だ。
出来立ての、でも少しだけ形の崩れてしまったオムライスをトレーに乗せて名無の元へと向かう。
デカパン「今日のはちょっと失敗しちゃったダス・・・。
ケチャップライスまではよかったんダスけど、オムがどうにも上手く出来んダスよ」
まだまだ練習が足らんダスね。と呟きながら台の上に置く。
さあ、いつものように名無に教えてあげなければ。
いつもの、ように。
力無く瞼を開けた名無。
これも、いつも。
デカパン「さーて、名無。
今日は体調、どうダスか?」
返ってこない返答。
これも、いつも。
そう。
いつも。
デカパン「今日は、・・・・・・。
今日・・・は、・・・・・・っ・・・」
いつ、もの。
あれ。
なんだっけ。
いつも、みたいに。名無に。世界の事を、教えて・・・聞かせてあげないと。
なんで・・・。
デカパン「・・・・・・っ・・・ぅ、っ・・・・・・く、・・・!」
ぽた、ぽた
デカパン「ぅあ・・・!
ご、め・・・ダス!オムライスっ・・・玉ねぎ・・・き、過ぎちゃって・・・!
はははは、ほんと・・・っ・・・だめダス、ねっ」
止まれ。
止まれ。
止まって。
名無が、見えなくなってしまう・・・っ。