第182章 開けてはいけないパンドラの箱、開けますか?
書くのも憚られるが、こいつの口から俺の知らん奴の名前が出るのは気分が悪い。
あれの頭の中には俺だけでいい。
一からやり直すつもりはない。
今、ウリエが自然に人間らしく笑って話せていれば良い。
最近のウリエか。
最近、あの馬具を付けたジークリットに乗って俺達の馬上訓練に付き合いだした。
付き合う。というのは語弊がある。
あいつはピクニックにでも来ていると勘違いしているに違いない。
一歳と数カ月を過ぎたジークリットの能力はずば抜けて高く、身体を絞っていないウリエを乗せて、救急箱やら飲み物やらを身体に括りつけ、軽々と俺たちを抜かして行くのだから、これを素晴らしいと言わずしてどうする。
贔屓なようだが、ウリエの馬を育てる能力は天才的だ。
これからもウリエが活躍すれば、この調査兵団の功績も上がることと期待している。
あとは、こいつが立体起動に興味を持たない事を祈る。
蝶よ花よと育てられてきた事が根底にあり、やはり野蛮な事にはあまり食指が向かないのはいい。
クソみたいな巨人にウリエの命を奪われると考えると、はらわたが煮えくりかえる。
まぁ、俺がそんな事はさせないが。
今は、俺の馬を育てることに専念している。
後1年もすれば、ウリエのしつけた馬に乗れる。
楽しみでならない。
リヴァイ