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観察日誌  リヴァイ・アッカーマン

第184章 出掛けた日




「私、サファイアをタンスの底に落としたんです!」
「はぁ?じゃぁ、今つけてるのは予備のサファイアだってか?」
「いいえ!落としたサファイアを探していたら!」

いたら?
自分もタンスの底に落っこちて、自分と似た緑の瞳の黒いローブを着た落し物の妖精さんが、やさしく拾ってくれたってか?

「妖精さんの手を取って、もう一度きちんとお礼を申し上げようとしたら。サファイアだけ持ってタンスの前に戻ってきていたんです!タンスの底には妖精さんの世界があったんです!」
「夢でも見てたんだろ。」
「ち、違います!本当にタンスの底に落ちて、この手で妖精さんに触れて!」
「そんな馬鹿な話、誰が信じる。」
「ほ、ほんとなんです!帰ったら一緒に覗いてください!良いですよね、リヴァイさん。」
「見るだけだぞ。」
「はい!」

馬鹿げた話だ。夢だろ。
また前の様に、サファイアを舐めるように見つめていて眠っちまったんだろ。
まぁ、一応帰ったら一緒に覗いてやるか。

「ほら。なにもねぇじゃねぇか。」
「うぅ。矢張り落し物をしないと繋がらないのでしょうか。」
「夢だ夢。いいから明日に備えてさっさと眠るんだな。」
「はい…。」

相当な落ち込み様。
少しは信じてやった方が良かったか?

ウリエが眠った後。
俺がこっそりタンスを開けて、底を叩いたのをウリエは知らないだろう。

信じてやろうと努力したが、確認できない事実だ。
夢と思うしかないだろうが。

ん?
立体起動装置は完全に忘れたようだった。
俺も忘れていた。
ずっと忘れてろ。




・・・
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