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観察日誌  リヴァイ・アッカーマン

第13章 十三日目



昼、食事を持って行ってやると、昨日何冊か置いて行った本をちょうど読んでいるところだった。

「おかえりなさい、マスター。」

にっこりとほほ笑んでコマンドのような挨拶をする所はかわらない。

「マスターはよせ。」
「なんとお呼びしましょう。」
「リヴァイとかでいい。とにかくマスターはやめろ。」
「はい。」

俺も少し時間が取れたので、一緒に部屋で昼食を取ることにした。
静かな昼食、やっと一息つけるとようやく思考が目の前のウリエに向く。

「ウリエ。本は面白いか?」
「はい。」

YESだ。
こいつに貸した本はきっと興味があるだろう巨人に関しての考察本と興味のなさそうな子供向けの童話。

「どちらの本を読んだ?」
「巨人の本を読みました。これからもう一冊も読みます。」
「強制してる訳じゃない。資料室に行けば、巨人に関する物が沢山ある。」
「……はい。」

迷ったな。
人形として与えられたものを処理するのがいいのか、自分の興味を優先させるのがいいのか。

「食事を終えたら、風呂に入って、俺の貸した服を着て、資料室まで行ってみろ。」
「はい。資料室の場所はどちらでしょう。」
「部屋を出て、通りかかった人に聞け。俺もよくは知らん。」
「はい。」

道を聞いて進め。ただの命令にでも取れそうだが、こいつが人に話しかけるという動作を今まで見た事が無い。
しかも、たった一人でだ。
この中で迷子になるとは思えないし、何か間違いがあったところで、このクソ忙しい時期に姿の見えない隊員がいれば、俺が気付く。

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