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観察日誌  リヴァイ・アッカーマン

第124章 百二十四日目



ウリエは森の向こうの小さな家で見つけた。

家の住人である老夫婦がウリエを保護してくれていた。

「ウリエ。お前どうしてこんなところにっ。」
「あぁ、あぁ。怒らないでやって下さい。森で迷子になっていたこの子を、ここへ連れて来たのはあたしらです。」

話を聞けば、森の中で迷子になったのか、泥だらけでうろうろしていたウリエを老夫婦が助けてくれたという。

しかし、ウリエはどうして迷子になっていたのか話そうとせず、何処から来たのかも話さない。
何もしゃべらないこいつに辟易した事だろう。

迷惑をかけた。とウリエを引きとって兵舎に戻った。
馬の背でも何も話そうとしない。
ただ、黙って俺の前に座ってうなだれているだけ。

「ウリエちゃん!無事だったんだね!」
「はぁー。ったく、どこ行ってたんだよぉ。」
「心配したぜ?」

部下達が口々に、心配した。無事で良かった。と言っても表情は晴れずじまい。
部屋に戻ってからも黙ってベッドに座っているだけ。
呼びかけても反応しない。

「ごめ……なさい…。」

そろそろこれを書き終えて明日に備えようとした時、ようやく口を開いた。

「別に怒ってはいない。ただの迷子だろう。」
「い、いえ。」

違う?
中々次の言葉が出てこないウリエの話をようやく促す。

「壊れた私がいても、リヴァイさんのご迷惑です。」

役に立たない人形は姿を消すべきだ。と。
ふらりと森に足を向け、本当に迷子になってしまったそうだ。

「馬鹿か。言っただろう、お前はもう人形じゃない。ひとりの人間としてここを出ていくと決めたのなら無責任だな。ジークリットの事を置いて行かれた方が迷惑だ。」

ジークリット。と聞いて動揺した。
あれほどかわいがっていた馬だ。離れるのはつらいだろう。

「リヴァイさん……」

ボロボロと大粒の涙がウリエの瞳から溢れだす。

「なんだ。」

ひっくひっくとしゃくりあげながら、言葉を絞り出す。

「私、ここが好きです。ペトラさんもグンタさんもオルオさんもエルドさんも、ハンジさんも……リヴァイさんも大好きです!離れたくないですぅうう!」

俺が動揺した。




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