第98章 九十八日目
ウリエが遠慮がちに俺に話しかけて来た。
二度目だ。
「ジークリットに乗れるのはいつですか?」
あの、あの。とだいぶ言い淀んではいたが。
ウリエは早くジークリットに乗って散歩がしたいのだろう。
いつも馬上訓練に出かけるときは、ウリエは別の馬に乗ってジークリットの綱を引くだけ。
「まだまだ先だ。乗れるようになるのは一歳を越えてからだ。」
「そ、そうですか…。」
明らかな落胆。
仕方なく、一歳になるまでがどれだけ大切かを教えてやる。
ノートに時折メモを取りながら、真剣に聞く様子は面白かった。
こいつの頭の中は馬の事でいっぱいだな。
明日からまたいろいろ試したいのだろう、俺がこれを書き終わるのを楽しそうに待っている。
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